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内容いろいろ


 彫刻内容は時節を映します。

 洋型墓石が普及し始めた頃は「○○家」が一般的でしたが、その後「愛」「和」「夢」など一文字のものが多くなり、デザイン墓が広まると「ずっといっしょだよ」「Love Forever」などのオリジナルの言葉、夫婦の実家が合同で建てる両家墓には「××家・○○家」「和」「やすらぎ」など両家の結びつきを現し、そして震災後には「絆」やつながりを表す言葉が増えました。

 
戒名の彫り方

 時節を反映するのは言葉だけではありません。
 かつて戒名は棹石・上台・墓誌などに彫ることがほとんどでしたが、昨今の関東圏の霊園では一区画の墓地面積が狭いため、墓誌スペースが確保できなくなる等の制約の結果、フタ石や拝石に彫ることが珍しくなくなりました。

 つまりこれまで和型なら約63センチ・基本的な洋型なら約45センチ程の石の高さ内に戒名を彫刻していたものを、小さめのフタ石なら25センチ程の高さ内に彫刻するわけです。
 この狭くなった彫刻エリアに「戒名+没年月日+俗名+享年」を収めるにはレイアウトが重要になります。

  1・3・5番が基本形↓↓↓


戒名レイアウト

  1. ①②:従来型。人数確保できるけれど、ギュウギュウ詰め
  2. ③④:戒名の字数が多くても少なくても対応できる、バランスがとれたタイプ
  3. ⑤⑥:戒名の字数が多くても対応できる。人数があまり入らないので、石が横広タイプの方が良い

 1・3・5番をさらにスッキリさせたものが、2・4・6番。
 "没・俗名・享年"などを省略してあります。
 これは「墓誌に彫るのは"没・俗名・享年"に決まってる」→「わかりきった単語なら抜いてしまおう」というもの。
 当家の方しか埋葬されないのなら「芥川龍之介」→「龍之介」 と名字を抜くことでさらに簡略化できます。

 尚、二家が合同で建てる"両家墓"がなかった頃は、省略するなら「俗名」より「名字」でした。芥川家のお墓に芥川さん以外の方が入らないでしょう、という考え方です。
 しかし現代は、建立後にどなたが埋葬されるか分かりません。
 名字は入れておいたほうが無難でしょう。



当家由来・家系図

 「××家由来」の彫刻箇所について相談をうけます。
 当家のルーツから、両親の来歴・人となり・写真やサインなどの個人的なものまで、彫刻内容は様々。

 彫りたいけど他人に読まれ放題なのはちょっと…という場合のおすすめは
  1. ・墓誌の裏面
  2. ・フタ石の裏面 または 納骨堂の内側の壁
  3. ・銘板に彫刻→その銘板を納骨堂内に収める

 特に納骨堂は「開けたときに当家の方だけが読める」「子孫の代でもフタを開ければ、そのルーツを再確認できる」 というのがポイントです。
 古い墓石・墓誌を建替える際、江戸時代以前の方や、直系以外の方を「先祖代々之霊」とまとめてしまうことがあります(悪いことではありません)。
 そのような機会にも当家由来を彫刻されてはいかがでしょうか。